『博士の愛した数式』=小川洋子・著 2024.09.25 読書メモ 「僕の記憶は80分しかもたない」あまりにも有名なフレーズだがもし現実であったならいったいどんな仕打ちなのだろう。事故で脳にダメージが残り記憶が80分しか持たなくなった博士。毎日衝撃的な病名を朝起きると自分のメモで宣告される。家政婦紹介所から派遣された私は家政婦として博士の身の回りのお世話をするように
『「身体」を忘れた日本人』=養老孟子 2024.05.14 読書メモ 秋田市立図書館・明徳館から電子書籍の自動貸し出しのメールが来た。特に「借りる」操作をしなくても自動的に貸し出しとなり、1週間後に強制返却される仕組みのようだ。『「身体」を忘れた日本人』。第1章は 森と川と海のこと。手入れの行き届いた「山」が荒れると洪水が起こる。戦時中から木材が足りな
『白銀の逃亡者』=知念実希人 2023.12.19 読書メモ 今回は定番の始まり方ではなかった。何が起こっているのか不明のまま物語が開始され、追って解説が徐々になされる。医師・岬純也が新種のウイルスに侵されDoMSとなる。回復したときにはヴァリアント(変異体)となった。(そういえばレゾンデートルの主人公の苗字も岬だった。関係があるのかな)ヴァリアン
『リアルフェイス』=知念実希人 2023.10.12 読書メモ 天才美容外科医・柊貴之が猛暑の中劣悪の環境で手術をしているシーンから始まる。柊貴之がその天才的な腕でどんな顔も作り出してしまう。妻を前妻の顔にしてほしい夫婦、美を求めすぎた余り顔が崩壊しつつある女優、悪事を働いたためヤクザから逃れるために別人になりたい男、奇妙な依頼ばかりだが柊は依頼主を独自
『死神と天使の円舞曲』=知念実希人 2023.10.03 読書メモ 我が主様の指示で地上に降り立ったレオとクロのシリーズ。今回はクロ目線とレオ目線が入れ替わり放火の謎に迫っていく数日を描いている。いつも通りスピード感のある展開で一時も目が離せない。「頸椎が錆びついてるような動きで、大河は振り返った。」「様々な感情が複雑に混ざり合い、全身の細胞を満たし
『硝子の塔の殺人』=知念実希人 2023.09.11 読書メモ 新薬の研究で成功を収めた神津島は熱狂的なミステリマニアでもあった。その神津島が建てた11F建ての美しい硝子の塔で重大発表をするということで集められた9人。発表30分前、神津島に深い恨みを持っていた専属医師・一条遊馬が神津島を毒殺する。これを皮切りに第2、第3の殺人が起き、そしてそのどれもが密室であっ
『放課後ミステリクラブ①金魚の泳ぐプール事件』=知念実希人 2023.09.07 読書メモ 本書は児童書で、ミステリトリオが事件を解決していく。ある夏の日の夜、真理子先生がプールの準備をしようと行ってみると、たくさんの金魚が泳いでいた。まるで宝石のように。翌日のプールの授業は中止となり、この犯人を突き詰めていく。子どもにもわかりやすいような構成、読みやすい工夫がされている。
『傷痕のメッセージ』=知念実希人 2023.09.04 読書メモ 内視鏡の緊迫した場面から始まる。いつものように1行読んだだけでもう読み進められずにはいられない。何が起こっているのかプロローグを全部読んでもわからない、息つく暇もない急展開の場面に圧倒される。傷痕のメッセージとは元刑事・水城穣の胃の内壁にに書かれた謎のメッセージである。水城穣は末期癌
『バクテリア・ハザード』=高嶋哲夫 2023.08.31 読書メモ 微生物学者・山之内が炭素を石油に変化させるバクテリア「ペトロバグ」を発見した。ペトロバグは石炭を分解し硫黄分を含まない良質な石油を生み出す。環境問題も一気に解決と思いきや、石油産出国は自国の危機とペトロバグの根絶と山之内の殺害に踏み出す。そんな折、山之内はペトロバグの新たな危険性に気づく。生物にも石
『山椒大夫』=森鴎外 2023.07.20 読書メモ 帰らぬ父を訪ねて母、娘・安寿とその弟・厨子王、お供の女中・姥竹(うばたけ)が帰らぬ父を訪ねて越中から西国へと旅をしていた。途中、橋下で野宿していると山岡大夫という慈悲深そうな男に寝床を提供すると言われついていったらそれは人売りで、船に乗せられ女中と母は佐渡へ、姉弟は宮崎へ売り飛ばされる。船中、女中姥