『バクテリア・ハザード』=高嶋哲夫

微生物学者・山之内が炭素を石油に変化させるバクテリア「ペトロバグ」を発見した。ペトロバグは石炭を分解し硫黄分を含まない良質な石油を生み出す。環境問題も一気に解決と思いきや、石油産出国は自国の危機とペトロバグの根絶と山之内の殺害に踏み出す。そんな折、山之内はペトロバグの新たな危険性に気づく。生物にも石油化はおこり1分で死に至らしめることがわかってしまう。環境問題解決どころか生物兵器として使われかねない。自分の所属する研究所を爆破され、信頼する所長も殺され、愛する女性も殺され、絶体絶命と思われる危機を何度も乗り越えペトロバグは未来へと保存される。

石油問題、政治問題、各国の研究事情、地位と名声と金銭に翻弄される科学者たち。裏事情に通じる作者ならではの視点に引き付けられ最後まで一気に読まずにはいられない一冊であった。

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