『白銀の逃亡者』=知念実希人

今回は定番の始まり方ではなかった。
何が起こっているのか不明のまま物語が開始され、追って解説が徐々になされる。

医師・岬純也が新種のウイルスに侵されDoMSとなる。回復したときにはヴァリアント(変異体)となった。(そういえばレゾンデートルの主人公の苗字も岬だった。関係があるのかな)ヴァリアントは筋力が強く日光に弱い、瞳が白銀色という特性ゆえに人種差別を受け隔離されている。純也は自分がヴァリアントであることを隠し夜間救急医として勤務していたが、ある日少女・小村悠が自分を指名し診察を受けに来る。その少女もヴァリアントであり隔離施設「憩いの森」から逃げ出してきたという。純也に助けを求め、自分がヴァリアントであることをバラされたくない純也は悠をかくまいはじめる。実は悠には兄がおり、悠は兄に会うために脱走までしてきたのだった。その兄はある事件の犯人にされていて・・・
これ以上はネタバレになってしまうので今はここまでにする。

ハンセン病で患者なのに差別される、原発で被害にあったのに差別される、自分が見た目が違うからと差別される、差別される人は往々にして苦労している場合が多いにもかかわらず世の中には理不尽な差別が付きまとう。白銀の逃亡者は暗にいろんな問題を指摘しているように思えた。差別はなくならない。しかし差別はしてはいけないと訴えることは重要だ。事実30年前と現在では雲泥の差だ。あきらめない精神が何代もの人を介しまた次の時代をつくる。世論はどのように動いていくかわからない。でも実は意外と思い続けていた方に傾いていくのかもしれない。

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