『リアルフェイス』=知念実希人 2023.10.12 読書メモ 天才美容外科医・柊貴之が猛暑の中劣悪の環境で手術をしているシーンから始まる。柊貴之がその天才的な腕でどんな顔も作り出してしまう。妻を前妻の顔にしてほしい夫婦、美を求めすぎた余り顔が崩壊しつつある女優、悪事を働いたためヤクザから逃れるために別人になりたい男、奇妙な依頼ばかりだが柊は依頼主を独自
『死神と天使の円舞曲』=知念実希人 2023.10.03 読書メモ 我が主様の指示で地上に降り立ったレオとクロのシリーズ。今回はクロ目線とレオ目線が入れ替わり放火の謎に迫っていく数日を描いている。いつも通りスピード感のある展開で一時も目が離せない。「頸椎が錆びついてるような動きで、大河は振り返った。」「様々な感情が複雑に混ざり合い、全身の細胞を満たし
『硝子の塔の殺人』=知念実希人 2023.09.11 読書メモ 新薬の研究で成功を収めた神津島は熱狂的なミステリマニアでもあった。その神津島が建てた11F建ての美しい硝子の塔で重大発表をするということで集められた9人。発表30分前、神津島に深い恨みを持っていた専属医師・一条遊馬が神津島を毒殺する。これを皮切りに第2、第3の殺人が起き、そしてそのどれもが密室であっ
『放課後ミステリクラブ①金魚の泳ぐプール事件』=知念実希人 2023.09.07 読書メモ 本書は児童書で、ミステリトリオが事件を解決していく。ある夏の日の夜、真理子先生がプールの準備をしようと行ってみると、たくさんの金魚が泳いでいた。まるで宝石のように。翌日のプールの授業は中止となり、この犯人を突き詰めていく。子どもにもわかりやすいような構成、読みやすい工夫がされている。
『傷痕のメッセージ』=知念実希人 2023.09.04 読書メモ 内視鏡の緊迫した場面から始まる。いつものように1行読んだだけでもう読み進められずにはいられない。何が起こっているのかプロローグを全部読んでもわからない、息つく暇もない急展開の場面に圧倒される。傷痕のメッセージとは元刑事・水城穣の胃の内壁にに書かれた謎のメッセージである。水城穣は末期癌
『バクテリア・ハザード』=高嶋哲夫 2023.08.31 読書メモ 微生物学者・山之内が炭素を石油に変化させるバクテリア「ペトロバグ」を発見した。ペトロバグは石炭を分解し硫黄分を含まない良質な石油を生み出す。環境問題も一気に解決と思いきや、石油産出国は自国の危機とペトロバグの根絶と山之内の殺害に踏み出す。そんな折、山之内はペトロバグの新たな危険性に気づく。生物にも石
『山椒大夫』=森鴎外 2023.07.20 読書メモ 帰らぬ父を訪ねて母、娘・安寿とその弟・厨子王、お供の女中・姥竹(うばたけ)が帰らぬ父を訪ねて越中から西国へと旅をしていた。途中、橋下で野宿していると山岡大夫という慈悲深そうな男に寝床を提供すると言われついていったらそれは人売りで、船に乗せられ女中と母は佐渡へ、姉弟は宮崎へ売り飛ばされる。船中、女中姥
『読書記録』=大江健三郎 2023.07.18 読書メモ 大江健三郎の「読書記録」についての考え方が国語の教科書(光村)中3に書かれていたので引用する。~以下引用~公民館に村の人が寄付した本が集められていた。一年間、ほぼ毎日通いそこの本は全部読んだ。家に帰り「お母さん、僕は公民館の本を全部読んだ。」と言ったところ公民館に連れていかれた。適当
『花うた』=一穂ミチ(『奸計の遁走曲』=日本推理作家協会編) 2023.07.07 読書メモ 久方の記載となったが読んでいなかったわけではない。本業に時間がとられ書評の時間が取れなかった。それはそうと、知念実希人狙いで『奸計の遁走曲』を手にしたのだが、その中の収録作品「花うた」=一穂ミチ にかなり衝撃を受けた。「花うた」は書簡体小説といわれる形式で書かれており、刑期中の秋