『バクテリア・ハザード』=高嶋哲夫 2023.08.31 微生物学者・山之内が炭素を石油に変化させるバクテリア「ペトロバグ」を発見した。ペトロバグは石炭を分解し硫黄分を含まない良質な石油を生み出す。環境問題も一気に解決と思いきや、石油産出国は自国の危機とペトロバグの根絶と山之内の殺害に踏み出す。そんな折、山之内はペトロバグの新たな危険性に気づく。生物にも石
『山椒大夫』=森鴎外 2023.07.20 帰らぬ父を訪ねて母、娘・安寿とその弟・厨子王、お供の女中・姥竹(うばたけ)が帰らぬ父を訪ねて越中から西国へと旅をしていた。途中、橋下で野宿していると山岡大夫という慈悲深そうな男に寝床を提供すると言われついていったらそれは人売りで、船に乗せられ女中と母は佐渡へ、姉弟は宮崎へ売り飛ばされる。船中、女中姥
『読書記録』=大江健三郎 2023.07.18 大江健三郎の「読書記録」についての考え方が国語の教科書(光村)中3に書かれていたので引用する。~以下引用~公民館に村の人が寄付した本が集められていた。一年間、ほぼ毎日通いそこの本は全部読んだ。家に帰り「お母さん、僕は公民館の本を全部読んだ。」と言ったところ公民館に連れていかれた。適当
『花うた』=一穂ミチ(『奸計の遁走曲』=日本推理作家協会編) 2023.07.07 久方の記載となったが読んでいなかったわけではない。本業に時間がとられ書評の時間が取れなかった。それはそうと、知念実希人狙いで『奸計の遁走曲』を手にしたのだが、その中の収録作品「花うた」=一穂ミチ にかなり衝撃を受けた。「花うた」は書簡体小説といわれる形式で書かれており、刑期中の秋
『N』=道尾秀介・著 2022.10.19 短編集だが読む順番によって印象が大きく変わるという画期的な手法を取り入れた珍しい一冊。全般的に暗い話が多くハッピーエンドとはならない。話のつながりももう少し深く掘り下げてほしかったが、話題となっていた分、一般的な受けは良かったのだろう。
『博士の愛した数式』=小川洋子・著 2022.10.07 「僕の記憶は80分しかもたない」あまりにも有名なフレーズだがもし現実であったならいったいどんな仕打ちなのだろう。事故で脳にダメージが残り記憶が80分しか持たなくなった博士。毎日衝撃的な病名を朝起きると自分のメモで宣告される。家政婦紹介所から派遣された私は家政婦として博士の身の回りのお世話をするように
『祈りのカルテ』=知念実希人・著 2022.07.19 研修医・諏訪野良太が各科を回って不可解な症例を解き明かしていく。現在放映中のドラマ「祈りのカルテ」の原作。ドラマを先に見てしまったので新鮮味に欠けてしまった。往々にして映像化されたものは先に小説を読んでからでないと味気ない。
『レゾンデートル』=知念実希人・著 2022.07.19 末期癌を宣告された医師・岬雄貴があるきっかけで起こす殺人事件。その裏には連続殺人鬼「切り裂きジャック」が絡み、剣道で全日本大会に出場したことのある犯人の剣ならぬナイフさばきの描写が心に残る。現在放映中のテレビドラマ「祈りのカルテ」の著者・知念実希人のデビュー作。通常の文庫本の約2倍の厚さ
『むしろ、考える家事』=山崎ナオコーラ・著 2022.03.12 家事を家事として捉えない。家事に意味をもたせてやるとそれはもはや充実した一つの仕事と変わる。心の奥底にあった言葉にならなかった思いがスッパリと文章に具現化されることで新しい気付きを与えてくれる一冊。